7.15.2014

雷竜の国、そしてHappiness ②

 人ほど、他の生物に頼って生きているものもないなと思う。
 都市から離れれば離れるほどに、それは漠然としたものから実感へと変わってくる。


 人は、人と人の関係性に心をとらわれがちだ。だけど、実は多くの命に支えられて、ようやく生きている。様々な生命と密接な関係性を持っている。
 ブータンで出会った人々は、自然体でその関係性を大切にしていたように思う。

 ブータンではどこに行くにもガイドさんが一緒だ。いまのところ、国の決まりなので外国人は一人でふらふらと歩き回ることは出来ない。なので、山に登るとなっても一人では登れない。必然、山に登るとなると、ガイドさん、コックさん、コックさんのアシスタント、馬子さんがつくことになる。そして馬が5頭。ちょっとしたキャラバン隊が出来てしまうことになる。

ブータンの山間部では(ほとんど山間部だけど)、僕たちのようなキャラバンだけでなく、輸送手段として馬を使ってることが多い。だから必然的にあちこち馬糞だらけで、そんな、3歩歩けば馬糞な道をオトコ5人、ウマ5頭でひたすら登っていくのだけど、ブータン人は気がつけば道をそれて何かを探してみたり、ごそごそ地面を掘ったりしてる。キャラバン隊としては規律も何もないのだけど、自由気ままで、時間を気にせず、何をするにも屈託がないブータンの人々は、独特のペースを持っている。

草を見つけては土を掘ってるコックさんに「何か採れるの?」って聞くと、それが芋だったり、薬草だったり、まったく何も採れなかったりなんだけど、期待のものが採れると満面の笑みで、採れなくても特にがっかりすることもなく、掘ったところを優しい手つきで埋め戻すのだ。山の恵み、生命の恵み。山の中での何気ない行動に、自然体で環境と共に生きている豊かさがある。大地にしっかりと根がある人の姿がある。

 そこには幸福のかたちが垣間見えているのかもしれない。

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