8.17.2013

瞬きのうちに


空を星が流れゆく.
瞬きのうちに、いのちが生まれ、消えていく.
時の狭間に、浮かんでる.



8.08.2013

紙に書くという行為で育ってきた人たちのエゴ

 LEAP Motionの面白さにかまけてほとんど忘れかけてた「enchantMOON」。
ようやくじっくりと使ってみたのだけれど、Copland計画を打ち出して希望を抱かせ、結果的にユーザを失望の底に沈ませて瀕死となった頃のAppleを思い出してしまった。

高級感を持たせたかったのかもしれないが、重く無骨で野暮ったい。
せめて厚みと薄さが半分以下であれば救われたのにというデキ。

 当初発表を聞いた時には21世紀のNewtonかとも思ったけれど、Newtonと比較する気になれないほど机上のコンセプトと実態の乖離が大きく、製品のレベルには到底達していない代物だ。"たとえ画面が乱れようともペンへのレスポンスを最優先する"。UEIが描き、主張してきたコンセプトと思想は全く実現していないのが目の前にある結果だ。コンセプトと設計がまったくかみ合うこと無く破綻している。

 書くという行為を中心に考えてNo UIを指向した結果生じた、ペン操作とタッチ操作の混在は救い難いほど操作性を低下させ、書き、思考するという行為への集中力を低下させてしまう。たとえペンの軌跡を取りこぼしてないとしても、描画が伴わなければ思考は中断してしまう。現状では、書いたものをすべて描画することが出来ずに文字が欠ける、図形が軌跡通りに表示されないという状態が頻発する。そして何よりも文字認識精度が低い。

そんなにきれいな字じゃないけど...

何度認識させても「clavius」とは認識してくれない

 "解る人には解ってもらえるデバイス"なのかもしれないが、解る人がガッカリしてしまうデバイスになってしまったなというのが正直なところ。これは何をどう改良しても、もはやどうにもならないだろう。改良ではどうにもならないレベルの設計だ。

 ペンで書くことで思考を進めていく。タイピングよりもドローイングのほうが思考するためには有効だ。紙に書くという行為を超え、書くことに検索性を付与し、思考と思考を結びつけて行くことで創造性を高めていく。そう考えて作ったコンセプトは素晴らしい。
 しかし、紙とペンを違和感無く使えるのは、紙に書くという行為で育ってきた故だからだ。本能的なものではない。
 掲げられたコンセプト、そして目の前にあるデバイス。そこから浮かび上がってくるのは、紙に書くという行為で育ってきた人たちのエゴなのかもしれない。

 未来を志向しているように見えて、既に遺物だ。何もかもが古くさい。




8.05.2013

感情と論理

 長崎「浦上天主堂」の被爆遺構がなぜ取り壊されたのか。その”なぜ”を追った一冊の本がある。先日文庫化されたということで、再読した。


 長崎に生まれ、被爆2世でもある筆者による力強いけれど淡々とした筆致は、人の中で蠢く感情と論理を抉りだしていく。
 感情の生きものである人は、廃墟の中にそこにあった記憶を嗅ぎ分ける。その人たる感情を、論理により利用とするのもまた、人だ。
 人は何故に感情と論理を持ったのだろう。

 ”簡単に、無自覚に無くしてはならない物がこの世界には存在するのだということを、歴史の教訓として学び取ることの出来ない者は、いつか再び、悲劇に見舞われるのだ。災害にしろ、戦争にしろ、犠牲者を悼み悲しむことだけで、「鎮魂」とするならば、人間の未来に光は差さないだろう。"

 人は歴史というものを知っている。それゆえに歴史から学ぶことも、出来るはずだ。

8.04.2013

Visualize & Gesture

 情報量が爆発的に増えていると言われている時代ではあるけれど、その莫大な情報のほとんどは価値を生み出さず、ほんの一握りの企業だけがそれを富に変えている他はただ流れ去り死蔵されていく。

 情報を集めること、整理すること、分析すること、活用すること。それぞれを可能にする道具は揃ってきつつあるのに、膨大な情報を活用出来る人はごくわずか。この情報活用力"格差"が、より大きな”格差”を生み出してきているのがいまの時代だ。
 スマートフォンと呼ばれる通信機能を持ったポータブルコンピュータが情報爆発の時代を本格的に切り開いたことは人類社会の大きな転換点だが、それは情報の価値を真に活用可能な時代の入り口に過ぎない。その意味で、スマートフォンというデバイスもタブレットも過渡期のデバイスであり、そこにあるのはまだ過渡期のインタフェースなのだろう。
 人類がより大きな一歩を踏み出して行くためには、情報の分析力・活用力を次の段階に進め、知の共有を拡げ、ビットの価値を拡散拡大させていかねばならない。そのためにはデバイスと共に情報入出力のインタフェースにおける革新が必要になっていく。

 情報そのものを目に見える形で扱う事が出来るインタフェース。LEAP Motionはその大きな可能性を秘めたプロトタイプだ。


 とても小さなスティック上のデバイスだが、両手、そしてそのすべての指の動きを捉えて空間上にマッピングすることが出来る。そこには情報の入出力に対する新たなアプローチとして大きな可能性がある。現在Leap MotionのアプリストアであるAirspace Storeからは様々なアプリが提供され始めているが、公開されているSDKを使うことでブラウザで動作するウェブアプリとして組み込むことも可能だ。
 Google Earthなども対応していて、大きめのディスプレイを使って手のジェスチャーで地球を操作している感覚はかなり斬新だ(操作はまだかなり難しいけれど)。
 その他にもThe NewYork Timesが既にアプリを提供していて、シングルハンドのジェスチャーでニュースの閲覧が出来る。


 ジェスチャーコントロールという分野はそれほど新しいわけではないが、空間認識におけるジェスチャーコントロールを使ったインタフェースはまだ試行錯誤の段階で、アプリにより考え方の違いが出ているところが逆に面白い。Kinect含めてカラダの動きを捉えるモーションキャプチャデバイスはエンターテイメント用途としては一般的になってきているけれど、手先の操作に特化し100分の1mm単位で両手と10本の指を検知する高精細センシング技術を持つLEAP Motionの可能性は、情報分析・活用という分野に大きなインパクトを与えるキッカケとなるかもしれない。
 そのためには情報を視覚化し、操作するインタフェースがキーとなる。
 まさにTony Starkがしているように。


IronMan2から


 
LondonのAir DataをVisualizeしてるデモ